EUフィルムデーズ「タンジェリン」エストニア/ジョージア

金曜日から京橋のフィルムセンターでEUフィルムデーズが始まりました。

初日の最終、2013年エストニアジョージアの合作映画「タンジェリン」のを観て来ました。今年のアカデミー賞外国映画賞にノミネートされていた本作はこれが日本初公開。上映後に監督とプロデューサーによる質問会がありました。

「タンジェリン」は1990年代のアブハジアでの紛争を舞台に、戦争の悲しさを描きます。
どんな心優しい人も悪い奴も、戦争の中ではいきなり前触れなくあっけなく死ぬ。なんの慈悲もなく、全くの善人が巻き込まれていきなり死ぬ。嘘でしょ。ってくらい悲しかった。こんなのは、とても悲しい死に方だと思った。戦争は人を人では無くしてしまう。


どんな事を描きたかったのかと聞かれて、監督とプロデューサーは
この映画には違う国、違う宗教の人々が出て来る。その中で、いかに人間として尊厳を守れるか。それを描きたかった。と。
俺はアラーを信じるけれど、キリストだって尊重する。俺もアラーを尊重する。
そんな風に彼らはとても誇り高い。互いに友人を殺し合った二人も、認めざるを得ないものを感じ始める。
村に残った二人のエストニア人、ミカン箱職人の老人とミカン農家のおじさん。そしてチェチェン人の傭兵、ジョージアの戦士4人の物語です。
善良で誇り高い彼らの物語はとてもシンプルです。アブハジアを象徴するミカンのオレンジ色と木々の葉の緑とが穏やかで鮮やかで、そして爆撃の火がハッキリとしたコントラストで絶望を知らせる。

87分の短い映画です。無駄なんて一つも無かった。日本での配給の予定は現在無いようなのが残念。

この映画はヨーロッパ各国で上映されていますが、舞台となったアブハジアでは未公開です。紛争の記憶は生々しく、とても大きな傷をあらゆる所に残し、その傷はまだ癒えていないからだそうです。

http://eufilmdays.jp/film/tangerines/